今回は東大発ベンチャーとして2008年に設立し、VR/AR/MRサービスを開発するアスカラボさんの代表取締役・岡本泰英さんにお話を伺いました。

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Asukalabさんは、元々東大の研究室から発足したとの事ですが……?

元は東京大学池内・大石研究室で実世界の3D化への研究をメインに行なっていました。

日本の仏教関係のルーツをたどり東南アジア・カンボジアのアンコール遺跡の方へ向かい、そこではアンコールトムという遺跡の中にあるバイヨン寺院を全体の推理モデルとして制作していました。
現地で3D化のために使用したセンサーも市販のものから、気球型移動距離センサーなど自分達で制作したものも使いましたね。

そしてその技術を生かし、Asukalab発足後、会社として様々なプロジェクトに関わる運びとなりました。

関わったプロジェクトとは、どのような内容なのでしょうか?

最初に、かつて飛鳥京だった地域・明日香村でのプロジェクトがありました。

明日香村でのプロジェクトは、田んぼや山などが多い一帯に対し、飛鳥京時代に立ち並んでいた建物をMRで再現するものです。
観光客の方に専用のゴーグルをつけていただくと、実世界を背景に昔の建造物が3Dとして映像上に現れ、そこにあるかのように『バーチャル飛鳥京』が体験できる仕組みになっています。

又、近畿日本ツーリストさんとコラボし、バスツアーでスマートグラスを配布して添乗員さんから説明を受けながら東京の古いものを再現した3Dを見ることができる3D体験旅行の実施や、2016年オリンピック誘致活動として、スタジアムを再現したMRも制作していましたね。

Aska labさんの最近の取り組みについて教えて下さい。

今までは歴史観光向けの取り組みをメインに行っていましたが、産業向けにもMR制作を始めました。
工場に機械を導入したい方や現地で働く作業員の方に対し、専用のVRゴーグルやスマートグラスを用いて精密機械のサイズ感を体験していただいたり、使い方をサポートするシステムなど現場教育に向けた開発も行っています。これらは、将来導入が一般的になっていくことを見越して取り組んでいますね。

今後のVR業界の展望については、どのようにお考えでしょうか?

現状、VRにおいてはゲームや産業、教育系にニーズが出ていて有望だとは思います。
しかしもっとこの分野を伸ばすためには、既存の分野に縛られない新しいコンテンツやサービスが必要だとは感じますね。
VRが流行っているから安泰だとは思っていませんし、何年もこのブームが続くかは疑問です。そこに危機感があるからこそ、もっとVRを生かせる分野を新しく開拓していけるんじゃないかとも思いますし、新しいことに切り込んでいきたいですね。

どんな学生に来て欲しいですか?

VRに興味のある学生さんでしたら、歓迎します!
新しい発想を必要とするこの分野で、世の中にインパクトを与えるような大きなことをやりたいと思う学生さんから、開発経験が欲しい、或いは新しい技術を触りたいという方でも構いません。製品とまではいかなくても、実験として面白いものを作りたいなど、新しい発想を持っている方なら嬉しいですね!

勉強法など、学生におすすめしたいことはありますか?

分からないことを調べるときはQiitaを使います。そのほかに情報収集のためにengadgetもよく見ます。こちらは、新しいデバイスの情報が出てきたりします。
あとははてなブックマークのテクノロジーのカテゴリーもいいですね。世の中の最新の動きにはついて行かないといけないと感じているので、VRに限らず興味のあるweb系のメディアは見ておいて方がいいと思います。

学生に対し求めているスキルがあれば、教えて下さい。

プログラムはそこそこ書けた方がいいかなとは思いますね。あえて言うなら、C#やJava使えますくらいの人がいたら嬉しいです。これらが多少できれば歓迎といった程度です。Unitiyは後からでも、誰でもできると思うんですよ。
興味があってやれる学生さんでしたらすぐ作れますし。とにかく、VRに興味がある学生さんが来てくれたら嬉しいです!

今後のVR業界に新しい変化をもたらすために研究と開発を続ける岡本さんの熱意を、取材からダイレクトに感じ取ることができました。岡本さんご自身が、「働く」といったことよりも新しいものに対する研究に対して寛容な環境に在籍していたこともあり、ぜひ興味を持ってくれた学生さんにも、同社では学びと新しいものを得る環境を提供したいとのこと。オフィス内も新しく、遊び心溢れる空間です。
岡本さん、ありがとうございました!

(取材:松浦香帆)

 

 

 

 

Askalab inc.